辛辞苑
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要約 - ようやく
要約とは、大量の情報を名ばかりの一文に押し込め、自らの理解を誇示する行為である。他者の混乱を減らすと言いつつも、自身の手抜き時間を稼ぐ絶好の理由にもなる。完璧な要約を追い求めるほど、元の文章の本質が霞みゆく悲しいパラドックス。
陽 - よう
陽とは、あらゆる暗闇を恐れて闇を追いやりたがる過剰自己顕示欲の化身。自己の輝きを主張するため、他者の影を踏みつけることに躊躇しない。眩しさの裏側には、陰を否定する冷酷さが潜む。究極的には、バランスを忘れたまま支配を志向する、二元論の暴君である。
養育費 - よういくひ
養育費とは、かつて親権という甘い響きと引き換えに生み出された金銭の執行人である。愛情の証として口だけで約束された願いは、実際には通帳の数字でしか裏付けられない。親が子どもに示す最高の愛は、口づけよりも振込の一部かもしれない。だが振込が完了すると、次の請求書とともに愛情は忘却へと旅立つ。お金のやり取りを通じて、子どもは親の真実の温度を知るのだろう。},
養子 - ようし
養子とは、血のつながりの神話から法的絆の高みへ飛び立つ者。親子の愛を紙に書き写し、戸籍という舞台に登壇する存在である。血統を問われず、契約の上で家族に名を連ねるが、しばしば“他人の履歴書”として扱われる悲喜劇の主役でもある。社会は彼を“選ばれし子”と呼ぶが、その真の物語はページの隙間にこそ隠されている。
養殖 - ようしょく
養殖とは、海や川という名の天然の遊園地に監禁された魚たちを、人類の食欲に応えるためにマネジメントする産業。自然の恵みを享受するふりをしながら、実際には資源の回復力を試す生ける実験装置でもある。環境負荷低減と称してコストを削減し、エコラベルで良心を免罪符に変える。消費者はパック詰めの「自然」を手に取り、その裏で監視カメラに興じる人間の存在に気づかない。
養親 - ようしん
養親とは、自らの血を分かち合わない者を選んで愛を証明しようとする者のこと。法律と誓約でこじ開けた家庭という名の劇場に、無条件の愛と責任を演じる。その熱意はしばしば、期せずして子供の独立心を観測用サンプルに変える。裏返せば、“返却不可”という契約を祝う一種の愛の祭典である。喜びの涙と同じくらい、月謝と面談の費用が積み重なっていく。
抑止 - よくし
抑止とは、敵対行為を未然に防ぐという大義名分を掲げながら、実際には相手も己も不信と緊張に包む不毛な均衡を維持する仕組みである。権力を振りかざす者は「抑止」という魔法の呪文を唱え、予算と特権を手に入れる。だが、その効果は自己暗示に過ぎず、一度得られた「安全」は新たな脅威を生む種にすぎない。真の安心は遠く、鋭い論客たちの講釈だけが空虚にこだまする。
抑制と均衡 - よくせいときんこう
抑制と均衡とは、権力という怪物にギリギリの鎖を掛ける古代からの社交儀式である。理論上は権力の暴走を防ぐはずだが、実際は各派閥が権力を奪い合う予防線の言い訳大会となる。いかなる均衡も、最終的には新たな抑制のネットワークを呼び込み、永遠に続く会議の迷宮へとお連れする。
欲望 - よくぼう
欲望とは、自らの不完全さを照らし出すスポットライトだ。満たされるたび、次なる欲望という名の灯りが淡くとも確実にともる。理性はその光に気づかないふりをするが、暗闇の中で最も激しく囁くのは常に欲望だ。人は欲望を追いかけることで自己を証明しようとするが、その証明は永遠に不完全な論文に過ぎない。結局、欲望は最も信頼できないナビゲーターだ。
翼廊 - よくろう
翼廊とは教会の身廊から十字に伸びる左右の通路。神聖さを演出するとされながら、実際は観光客の迷子製造器。荘厳な雰囲気を醸しつつ、祈りの場よりも散歩の広場として機能する奇妙な空間。建築史家には信仰の象徴とされるが、その秘密は石壁の陰に隠れた無口な廊下にある。
来世 - らいせ
来世とは、現世の無能さと無責任さを正当化するための最高のマーケティングキャンペーンである。行いの悪さを棚上げにし、死後の報酬を担保に付け加えることで、自己満足と逃避を同時に叶える。実体のない未来を餌にして現実の改善を先送りにさせる、詐欺師好みの発明品だ。信じる者には無限の希望を、批判する者には格好の皮肉を提供する、あらゆる議論の万能錠。
頼りがい - たよりがい
頼りがいとは、美辞麗句をまといながら、実際には自分では何も背負わないための社交的なマント。あたかも自分が唯一の救いの手を差し伸べるかのように演出しつつ、問題が深刻化すると真っ先に姿を消す不思議な能力。周囲はその忠誠心に酔いしれるが、陰で静かに自己保身の網を張っている。しばしば“頼りがいがある”と評価されるのは、責任転嫁の技術に長けた人間のことを指す。最終的には、誰もが依存したいと思うほどの魅力と、最後まで背中を預けられない幻の二面性を併せ持つ奇妙な性質である。
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