辛辞苑
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利他 - りた
利他とは、他人のために自らを犠牲にするという美談の裏で、自己顕示欲と社会的評価を巧妙に同居させた高尚な演出である。他者へ手を差し伸べるその手には、往々にして「いいね!」の数と賞賛の期待がひっそりと隠れている。多くの人は無償の善意と信じ込み、見返りを拒むほどに逆説的な取引を成立させる。利他とは、自己愛の裏返しが作り出す、最も社会的に許容された自己中心性の形だ。
利他主義 - りたしゅぎ
利他主義とは、自らの利益を脇に置いて他者への好意を振りまく儀式である。その背後にはしばしば「私はいい人」という不朽のブランド構築が潜む。見返りを拒否しながら、心の内はしっかり計算している二面性。また、善行の陰には自己顕示の暗黙のオークションが開かれている。
利便 - りべん
利便とは、あらゆる手間を排除し、快適さという名の快楽を即座に提供するが、その追求は人間の注意力と努力をそぎ落とし、最終的には思考停止を招く万能薬のような呪いである。スマートフォンの通知音に怯えながら、配達ロボットに人生を委ねる現代人を映し出す鏡ともなる。拡大を続けるほどに人間の本来の動機を希釈し、慣れた頃には不便の耐性すら失わせる。だが、誰もこの甘い罠から抜け出すことはできない。
履歴書 - りれきしょ
履歴書とは、応募者が過去の栄光と失敗をコンパクトに詰め込む儀式用紙。読んだ側はそれを真実とも虚飾とも知りながら、未来という不確定要素への賭けとして採否を下す。完璧に書かれた履歴書は宝の地図にも見えるが、多くは文書上の幻想に過ぎない。最終面接で問われるのは、むしろその書面をいかに都合よく解釈するかの技量である。
履歴書 - りれきしょ
履歴書とは、自らの生存競争の証拠として提供される紙の履歴。過去の栄光と失敗を同じフォーマットに無理やり収め、他者の評価という名の通過儀礼を受けるプログラム。経験の選択的編集によって、自分をかりそめの英雄に見せかける行為ともいえる。不合格通知の山を積み上げるための原材料。なお、内容の正確さは運と書き手の創作力に左右される。
理解 - りかい
他人の言葉を聞いたふりをして安心感を演出し、自身の優秀さを内心で再確認する社会的祝辞袋。時に相手の心の扉をこじ開ける鍵とされるが、ほとんどの場合は自我を守る盾に過ぎない。聞こえは手厚いが、その実態は自分語りの前奏曲である。
理神論 - りしんろん
理神論とは、遠く離れた時計職人のように世界を創造してからは一切の干渉をやめた神のことを論じる学説。啓蒙時代の自信過剰な理性が編み出した、信仰と無信仰の中間地帯にある雑種宗教ともいうべき概念である。神は創造主であるが、その後は放置されているため、祈りは気まぐれな模型蒸気機関にしか届かず、道徳的指針は人間側の使い捨て工具と化す。理神論者は手袋をはめた手で神を撫でながら、結局は自分たちの理性にしか頼れないという鏡写しの真理に到達する。
理由なきプレゼント - りゆうなきぷれぜんと
理由なきプレゼントとは、贈り手の目的を闇に葬り、受け手に純粋な感謝か戸惑いかを強要する不思議な儀式である。贈る理由がないからこそ、贈られる側はありがた迷惑と呼ぶにふさわしい微妙な感情に苛まれる。身に覚えのない好意に身を震わせつつ、心底ありがたがるべきか疑念を抱くかを選ばねばならない。合理性を拒む矛盾が、その場の空気を甘酸っぱい緊張感で満たす。なぜか理由を求める卑屈な自我があぶり出されるのも、この贈り物の真骨頂だ。
理由原理 - りゆうげんり
理由原理とはあらゆる存在に説明を要求する思想の万能鍵であり、解明すべき無限の扉を次々と開け放つ。原因なき結果を偽物と断じ、問い続けるほどに無限後退の井戸へと誘う。哲学者のみならず会議の場でも説明責任を盾に無限質問大会を仕掛ける厄介者である。絶対的論理の名のもと、偶然や不条理を無理やり理屈へねじ込む、押しつけがましい真理の狂宴だ。
里親 - さとおや
里親とは、他人の事情と期待を背負う一時的な家族レンタルサービスの経営者。子供の寂しさは愛情と称され、行政の審査は慈善の検問所となる。時に、子供の笑顔は自己満足の証、泣き声は責任転嫁のアリバイである。血のつながりを擬似する演技力が求められ、心の傷は消費期限内に消化される。最終的には、善意の名の下に浮かぶ不安定な愛情の投資案件である。
離婚 - りこん
離婚とは、かつて“互いを必要とすると誓った契約を、法廷という名の解体工場に引き渡す儀式である。そこでは愛情がバランスシートに書き換えられ、共有財産はパイ状に切り分けられる。感情の残骸は離婚届申請書と共に役所へと流れ、個人の住所変更手続きだけが無言の抵抗を続ける。そして最後に残るのは、離婚成立証明書と、“自由”と“孤独”という奇妙な盟友だけだ。
離婚協議 - りこんきょうぎ
離婚協議とは、かつて愛を誓った二人が感情という綱渡りの上で財産と親権を天秤にかける儀式。互いの過去の栄光と過ちを清算しつつ社会的体裁を繕う、最後のおまじないでもある。書類と署名という呪文を必要とし、感情的なジェットコースターには免税証明書が発行されない。理性という名のセレナーデを奏でながら心の残骸を掃除する、皮肉なラブストーリーの幕引きだ。
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