辛辞苑
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#トレンド
ベーピング - べーぴんぐ
ベーピングとは、煙で隠そうとする健康への罪悪感を可視化する最新の儀式である。ニコチンを乗せた彩雲を自ら生み出し、その一瞬でストレスから逃れようとするが、現実には肺の奥深くまで暗雲を送り込むだけだ。禁煙の看板を掲げつつ、雲の向こうには依存という名の嵐が待ち構えている。自己管理を謳いながら、結局は味覚と呼吸器官を無抵抗に差し出す行為である。
ステイケーション - すていけえしょん
ステイケーションとは、自宅や近隣を舞台に“休暇”を演じる最新の詐術。実際には洗濯物と冷蔵庫に囲まれていながら、“未知の体験”を語るための御旗として歓迎される。ホテルも飛行機も不要な反面、現実と幻想の境界線が薄まり、リビングがビーチにもオフィスにも変貌する。環境保護や経済効果を謳い文句にする人々は、そのおしゃれな響きに酔いしれ、自らの退屈と無計画を“選択的エコロジー”と名付ける。
チルアウト - ちるあうと
チルアウトとは、忙殺される文明社会の中で、ゆるやかな無関心と自己陶酔を同時に手に入れるための流行的儀式。SNSでは「チルアウト中」のタグの下で、自分を休ませることよりも他人に見せびらかすことが優先される。実際には、脱力感と罪悪感という相反する感情を絶妙にブレンドし、自己満足と無責任を権化した技術である。人はこれにより、「頑張っている自分」の代償として「癒されたい自分」を演出し、休息を自己ブランディングの一部として消費する。完全なる休息など存在せず、チルアウトはその矛盾を華麗に覆い隠すステルスなリラクゼーション美学だ。
トランスメディア - とらんすめでぃあ
トランスメディアとは、ひとつの物語を複数の媒体にばら撒き、いかにも革新的に見せかけるマーケティング手法の総称。読者はテレビで始まり、ウェブでも追い、ゲームでも追い…結局いつ完結するのか訊ねる隙も与えられない。制作側は「没入体験」を謳い文句にしておけば、どんな矛盾も覆い隠せる魔法を手に入れたような気分になる。要するに、飽くなき拡張と断片化の名の下に、消費者の時間と注意力を収奪する壮大な狂気の儀式だ。
ファッショントレンド - ふぁっしょんとれんど
ファッショントレンドとは、群衆心理を巧みに操る色彩と形状の呪文に過ぎない。毎シーズン、かつて捨てられたデザインが高額な「ニュー・クラシック」として再臨し、財布から魔法のように金を奪う無限ループ。人々は「個性」を謳歌しながら、まったく同じ服を着る集団の一員になる安息を求める。結局、トレンドの本質は自己表現ではなく、最新の自分を演じ続ける疲れる劇場にほかならない。
意識高い消費者 - いしきたかいしょうひしゃ
意識高い消費者とは、自らを環境の守護者と自称し、買い物かごを正義の剣に見立てて戦場を駆け巡る者である。オーガニックやフェアトレードといった言葉を呪文のように唱え、他人の購買行動を戒めることに使命感を抱く。だがその実、エコバッグが新品のインスタ映えアイテムであることには誰も触れない。自分の消費を倫理的に正当化することで、心の平安を買っているのだ。
流行 - りゅうこう
流行とは、集団的な承認欲求を可視化する社会的マスクのことである。誰もがそれを身にまとい、自らの個性を隠しながら「目立ちたい」という矛盾した欲望を満たす。流行は短命でありながら、常に新種の犠牲者を求める捕食者のように人々の注意を狩り尽くす。新しい流行が現れるたびに旧来の価値はゴミ箱行きとなり、忘却の墓場で蜘蛛の巣に埋もれていく。最終的に、人々は「流行を追う自分」が最も流行していることに気づけない。