辛辞苑
ホーム
タグ
カテゴリー
このページについて
ja
#修理
ドライバー - どらいばー
ドライバーとは、回転という魔法をもって小さなねじを支配する、家庭の片隅に潜む魔導具である。形状は単純だが、その尖端はネジ山を潰し、修理の神話を粉々にする。自己主張は少ない一方で、必要とされるときには過剰に威力を発揮し、利便性の名の下に乱暴を働く。使い手はその万能感に酔い、気づけば家具のポケットを占拠されたことに後悔する。日常の平和は、この小さな棒の機嫌次第で揺らぐ。
メンテナンス - めんてなんす
メンテナンスとは、対象が勝手に崩壊しないように行う、実質的に祈りの一種である保全儀式である。機械や制度が黙って動き続けるのは、ごくまれな祝福の瞬間であり、その背後には終わりなき点検リストの呪縛が潜んでいる。生前に気づく者が少ない無償奉仕の聖業であり、止めればたちまち悲鳴(障害)が轟き渡る。作業者は事前に予期せぬ破滅を招かぬよう、無数のチェック項目を念仏のように唱え続ける。完了時には称賛も感謝もなく、次の危機に直行するだけの忘れ去られた英雄の所業である。
リファービッシュ - りふぁーびっしゅ
リファービッシュとは、古びたものに化粧直しを施し、新品の香りを纏わせる技術の呼称。実際には埃と使用感を薄めるペイントであり、“地球に優しい”イメージを盾に廃棄コストを転嫁する権利を付与する。新品価格の半額以下で新しいストーリーを語るが、真実は“二度目の人生”などではなく単なる皮膜の修復であることが多い。
リペアカフェ - りぺあかふぇ
リペアカフェとは、使い捨て社会の隙間を縫うように現れた、壊れた家電や衣類をコーヒー片手に自ら直せると信じさせる市民参加型ワークショップである。実際には緑色の小旗と工具棚の前で、誰かのアドバイスを待ちながら途方に暮れるだけの社交イベントとも言える。「直せる」という希望と「直せない」という現実が同居し、チューブの緩み一つから世界の資源問題までを語り合う、壮大な茶番劇の舞台だ。
修理する権利 - しゅうりするけんり
製造者が秘密の呪文によって機器を鎖につなぎ、消費者に代価を課す中、その呪縛を解き放とうとする幻想的権利。理論上は部品と情報の提供を求め、電子錬金術の徒を自称する試み。現実には企業の法務部屋をぐるぐる彷徨い、『認められました』の御墨付きを得て姿を現す民間伝承。環境保護の聖歌と消費者主義の兼業歌人が矛盾の詩を紡ぐ舞台。