辛辞苑
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#公平
一事不再理 - いちじふさいり
一事不再理とは、法廷が二度手間するのを嫌がる理由を“正義”と名付けた美談。かつては同じ疑惑で再び裁かれる悲劇から市民を守るために導入されたが、現在では裁判官のファイル山積みへの拒否反応を隠す免罪符としても機能する。いったん有罪か無罪かが決まれば、それ以降は法の“気まぐれ”に翻弄されずに済むはずだが、要するに裁判を一度きりにして楽をしたいだけという説もある。判決の最終性を守ると称しつつ、当事者の納得感は二の次にされがちな司法的カラクリの中枢である。
客観性 - きゃっかんせい
客観性とは、自分以外の視点を尊重すると豪語しつつ、結局は自らの偏見を隠すための高尚なマントである。真理を探し求めると称しながら、最も心地よい結論だけを採用する選別の名人でもある。議論の場では公正を謳い、裏では数々のバイアスをそっと忍ばせる、哲学界のダークヒーロー。
健康格差是正 - けんこうかくさぜせい
健康格差是正とは、社会構造が生み出す病の差を統計の魔法でならす政策の呪文である。高級ジムもコンビニ栄養ドリンクも一緒くたにする美辞麗句は、実際の食卓には何の影響も与えない。行政はグラフを整え、スローガンを並べることで、『みんな平等に健康』という幻想を演出する。だが本当に平等なのは、政策担当者の評価指標だけかもしれない。
公平理論 - こうへいりろん
公平理論とは、他人を見て自分の苦労がどれほど重いかを測る神聖な定規である。努力と報酬の天秤を眺めながら、永遠にバランスを求める人間の拷問装置とも言える。その核心は「他人と比べることこそ最も信頼できる真理だ」という崇高な信念にある。関係がうまくいけば賞賛され、ずれれば嫉妬と陰口を生む、不安定な社会的通貨だ。
衡平 - こうへい
衡平とは、社会の聖杯と称されながらも、都合のいい時にしか呼び出されない選択的神聖である。真に公平を論じるには煩雑な理屈と手間が必要だが、その面倒は誰も負いたがらない。人々は衡平を望みつつも、自分に都合の悪い局面では巧妙にそれを忘れる。最終的には、自分だけが損をしないための口実としてのみ輝く理想となる。
相互性 - そうごせい
相互性とは、他人との間で行う“お返しゲーム”。善意という名の前払保証書であり、自分が受け取らずに終われば契約違反とみなされる。互いに与え合うほどに絆が深まるというが、結局は見返りを確認するための暗黙の会計帳簿に過ぎない。世間では美徳と称されるが、実態は複利制借金のように返礼を際限なく膨らませる負のループだ。
年齢差別 - ねんれいさべつ
年齢差別とは、若さへの絶対的信仰と老いへの根深い恐怖から生まれる社会的エクソシズムの一種である。若手は未熟と断じられ、年長者は時代遅れと烙印を押される。この欺瞞的な公平の名の下、活力と知恵はともに踏みにじられる。世代を跨ぐ壁を築くことで、一瞬の若さが永遠の価値とされる。やがて被害者も加害者も同じベンチに座ることになる運命の皮肉。
包摂 - ほうせつ
包摂とは、多様性というお題目の名の下で、本来の外部を内部に引き込みつつ、差異を残酷に平準化する高度な社会技術である。すべてを受け入れると謳いながら、実際には境界を曖昧にして責任を希釈する。包摂が成立した瞬間、不平等は目立たなくなり、問題は不発弾として社会の底に沈められる。真の救済を装うことで、実効的な変革を永遠に先送りにする、皮肉に満ちた現代の万能薬である。