辛辞苑
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#医学
乾癬 - かんせん
乾癬とは、皮膚という名の境界で行われる免疫の反乱が巻き起こす恒常的なフェスティバルである。赤く炎上した領土に白い鱗片を撒き散らし、周囲に強い存在感を誇示する。人間の不完全さを浮き彫りにし、治療薬と保湿剤を崇拝対象に祭り上げる頑固な皮膚のテロリストだ。原因不明の理由を盾にステロイドという名の交渉術を要求し、当人には休息の権利を一切与えない。かゆみという名のバックグラウンドミュージックとともに、日常を延々とかき乱し続ける陰の主役である。
肝硬変 - かんこうへん
肝硬変とは、酒とストレスとの長い不穏な契約がもたらす悲劇的な結末。沈黙していた肝臓が次第に硬化し、一滴たりとも逃がさない鉄壁の要塞へと変貌する。患者は痛みという名の忠実な伴侶に付き添われ、医療機関は最後通告と鎮痛薬を交互に手渡す。治療は延命の祈り、予防は過去の放縦の嫌疑尋問に等しい。
肝臓 - かんぞう
肝臓とは、酒宴の最前線で毒と戦いながら沈黙を守る体内の化学工場である。栄養を蓄え、解毒し、罵声にも耐える、その存在感は肉体の裏方だが欠かせぬスター。二日酔いの朝には最も過酷な労働を強いられ、お礼の言葉を待たない悲哀を帯びる。沈黙を守る器官ほど、ひそかな反乱を起こしたときのインパクトは大きい。
関節炎 - かんせつえん
関節炎とは、膝から指先に至るあらゆる関節が“痛み”の古典的演劇を上演する炎症反応である。炎症という名のスターは、自身の熱気と腫れで舞台を独占し、観客である我々の動きを鈍らせる。痛みの訪問が無断で繰り返されることにより、身体は毎晩“痛みとの共存”という無間地獄に足を踏み入れる。市販薬は一時的な平和条約にしか過ぎず、冷却も温熱も形だけの慰めにすぎない。加齢や過労、免疫の暴走まで、複数の画家によるコラボレーション作品のように多彩な要素が痛みを色づける。医者は診断書という名の証明書を発行し、患者はそれを盾に動く言い訳の素材を手に入れる。日常の階段は修行場と化し、ソファは冷たい観客席となる。
機能性医学 - きのうせい いがく
機能性医学とは、体内の隠れた悪霊(症状)を、お札(サプリ)の貼り付けと最新の機械占い(検査)で祓おうとする新興宗教めいた医療体系である。専門医とは名ばかりで、一流のサプリ販売員を演じながら、患者の不安という販促材料を巧みに煽るマーケティングマシーン。問診の代わりに微細な血液の値を拾い上げ、その数字が患者の恐怖心に火をつけるスリラー映画のチケット代わりを務める。効果の検証はいつも未来の自分任せ、異端と叩かれそうになると「個別化」とマジックワードを唱えて逃亡する。
結核 - けっかく
結核とは、社会の病理を映す鏡として働く古典的な呼吸器の病。痩身と咳という優雅な症状で人々を魅了しつつ、その実、命の砂時計を逆さに振り続ける存在。予防策を謳う声が高まるほど、病巣はひそやかに繁栄し続ける皮肉な同伴者である。
血圧 - けつあつ
血圧とは、心臓という名の独裁者が送り出す衝撃波を、静脈と動脈で測ろうとする徒労の象徴である。定期的に測定しなければ何かが起こると脅されるが、その何かは測定後にも誰も説明できない。正常値という名の鎖を守ろうとすれば、薬と診察の無限ループに囚われる運命。ストレス一杯のコーヒーで暴れ出し、サプリ数粒で鎮静される臆病な暴君。それを下げるために呼吸だ運動だと自己管理の迷宮へ誘う、健康管理という名の罠である。
血液 - けつえき
血液とは、人体という名の網の目を巡る赤い巡回者である。酸素という名の希望を運搬し、老廃物という名の迷惑を回収するという大義名分を帯びながら、時に点滴バッグと献血バスの外と内で価値を測られる哀れな流体でもある。血管という道路を絶え間なく走り回り、止まれば人は死を迎えるという恐ろしさを内包する赤い警告装置だ。そしてその色が濃ければ濃いほど、無意識のうちに力強さや健康の幻想を抱かせる天然のマーケティングツールでもある。
血漿 - けっしょう
血漿とは、人体という化学工場で生成された半透明のスープである。生命を運ぶと持てはやされながら、実際には検査管に注がれて医師の好奇心を満たす社交辞令的ドリンクに過ぎない。脱水だ貧血だと騒ぐたびに責任を転嫁される万能のスケープゴートでもある。平時には忘れ去られ、緊急時には点滴ポンプとともに慌ただしく召喚される縁の下のヒーローである。
呼吸器系 - こきゅうきけい
呼吸器系とは、体内に酸素を迎え入れ、不要な二酸化炭素を追い出す、一方通行の化学トレードエリアである。肺、気管、気管支という名のベルトコンベヤーが、休むことなく空気という原料を加工し続ける。意識していないと忘れられがちだが、止まれば即座に社会的にも生物学的にも大騒ぎとなる存在。ストレスや大気汚染という名の雑音にも耐え、無言のまま酷使される苦労人集団。ちなみにマスクを着けるときだけ急に注目される薄情な器官たちでもある。
呼吸数 - こきゅうすう
呼吸数とは、人間が生きている証として肺の往復運動を数える無慈悲な監視装置である。増えれば不安とストレスを映す鏡となり、減れば死へのカウントダウンを開始する残酷な秒読み機だ。医療現場では数値ひとつで運命が左右され、患者の安眠すら数に支配される。過呼吸を起こせば周囲は大慌て、無呼吸に陥れば誰もが慌てふためく。知らぬ間に、我々は呼吸数という名の小さな独裁者のもとに生きているのだ。
抗体 - こうたい
抗体とは、体内で自らを正義の使者と信じ込み、異物を見つけると無差別攻撃を始めるタンパク質の自称騎士団である。ワクチンという演説に大いに感化され、士気を高めるパフォーマーでもある。正常時は影にひそみ、過剰反応の場面ではアレルギーという名の狂宴を主催する。自分を守る一方で、自己攻撃という暴走にも余念がない二重人格だ。毒と薬のあいだを紙一重で揺れ動き、安心と恐怖を同時に振りまく究極の存在である。
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