辛辞苑
ホーム
タグ
カテゴリー
このページについて
ja
#感情
満足 - まんぞく
満足とは、ひとときの平穏を装いながら、次なる欲求を先送りにする巧妙な策略である。人はそれを得ると、自らが得たはずの奇跡を忘れ、新たな空虚を抱いて再び彷徨う。究極の充足感は自らにさえ裏切られやすい幻影にすぎない。
夢中 - むちゅう
夢中とは、自我を一時的に預ける儀式であり、対象の魅力を神格化して現実を投げ捨てる行為である。恋愛も趣味も仕事も、その底なし沼に落とし込む泥沼カード。熱中している間だけ、自分の意思という名のクレジットは停止し、往復ビンタのように対象から一方通行で返礼される。やがて冷静さという保険が切れた瞬間、全財産を失ったかのような喪失感が残る。誰もが一度は体験し、語らぬ後悔とともに胸にしまう、甘美なトラップである。
無関心 - むかんしん
無関心とは、他人の悲哀を他所事と捉え、視線を自分の都合のいい場所へと逃がす高尚な技芸である。周囲が混乱しようと炎上しようと、感情を節約するための最適解と称される。声を上げる気力はないが、批判するエネルギーだけは残っている不思議な状態。それはまるで、自らの心のシャッターを下ろし、世界を二次元のスクリーンとして眺める行為だ。最終的には「興味がない」が最強の自己防衛装置とされる。
余韻 - よいん
余韻とは、心に残る最後の一滴のようなものだ。演劇が終わった直後の劇場、あるいは恋の終わりに漂う微妙な後味。それは静寂を装った雑音であり、記憶にしがみつく悪魔でもある。噛み締めれば甘く、放っておけば苦く感じる。つまり、感じることそれ自体が、いつでも裏切りの可能性を孕んでいる。
««
«
3
4
5
6
7