数秘術 - すうひじゅつ
数秘術とは、無限の数字を神秘のベールで包み込み、己の存在意義を数字から読み解くという、現代人最大の自己満足装置である。人々はランダムな計算によって導かれた数字の羅列を、まるで古代の啓示のように崇め奉る。生年月日や氏名からひねり出された “運命の数” は、実のところ誰かのポジショントークに過ぎないことが多いにもかかわらず、人々はその偶然性に深い意味を見出そうと踠く。数と偶然性の蜜月関係は、混沌の中に秩序を強引に押し込む苦肉の策であり、結局は同じ数字を何度も見直しながら「当たった!」「外れた!」と一喜一憂するだけの騒ぎに過ぎない。ビジネス界では新たなコンサルティング手法として再パッケージ化され、自己成長の錦の御旗として掲げられる。終いには、誰の人生でもない他人の数字を読み解いて他人をマウントする、現代の数式による優越競争が待っている。