アルツハイマー病 - あるつはいまーびょう
アルツハイマー病とは、かつての自分を静かに消し去りながら、残された脳内を迷路のように変貌させる不思議な客である。大事な記憶は小出しに整理券を発行してくれるが、気まぐれに番号を飛ばしてしまう。かつて確信していたはずの名前や場所は、曖昧な霧の中へと溶け込んでいき、患者も周囲もその痕跡を必死に追いかける旅人となる。治療法は存在しないが、研究者はその謎を解く鍵を探し続け、家族は今日の出来事を何度でも繰り返す聖職者のように同じ話を語る。記憶の消失は悲劇かもしれないが、その混乱が生む奇妙な団結もまた、皮肉なコミュニティを築く。