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#芸術

AIアート - えーあいあーと

AIアートとは、人間の想像力と尊厳をコードの行間に留め置き、数値演算の意志と称して既存作品を切り貼りする新興芸術。創造性を謳いながら、実際はアルゴリズムが選んだ断片の寄せ集めに過ぎない。無限の可能性を謳う一方で、作者の顔は影に隠れ、著作権者は気まずい笑顔を浮かべる。評価基準が「なんとなく綺麗」から「誰がクリックしたか」に移行したのは、ある意味当然と言えるだろう。

建築写真 - けんちくしゃしん

建築写真とは、コンクリートの無機的な立面をまるで宗教的聖遺物のごとく神聖視し、光と影の祭儀で美化する営みである。空っぽのオフィスビルも、写真家のフレームを通せば未来都市の聖堂へと昇華する。だがその眼差しは、建物が内包する人の営みや老朽化の現実を切り捨て、“完成品”という虚構を演出する。透き通るガラス張りのファサードは、設計者の野望を称賛しつつ、施工ミスの影を隠蔽する舞台装置となる。真に写し出されるのは、建築美という名の虚飾と、維持管理の過酷さを忘れさせる魔術である。

美学 - びがく

美学とは、何が美しいかを永遠に議論し続ける言葉遊び。見る者のプライドをくすぐる装飾語として機能し、実践を伴わずに高尚さを保証する。画商と評論家にとっては商売道具、学生にとっては宿題の材料に過ぎない。時に、キャンバス上の五ミリの筆跡に人生の真理を垣間見た気分にさせる魔術として働く。結局は、学問の名で幻想を売る高級ギミックである。

木版画 - もくはんが

木版画とは、硬い木片を彫刻刀で削り、インクをこすりつけた後、紙の肌に無造作に押し付ける贅沢な苦行である。一枚一枚の僅かなズレに、職人の執念と敗北がにじむ。技法の古さは“伝統”という名の言い訳に過ぎず、現代人には過剰な労力を強いるアナログの亡霊とも呼べる。大量生産の影で、木屑とインクにまみれた手から逃れられない芸術家の嘆きが聞こえてくる。

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