天体写真 - てんたいしゃしん - 辛辞苑 - 悪魔の辞典のようなユーモアと風刺、皮肉がある辞書・百科大全

説明

天体写真とは、無数の星々をレンズの向こう側に閉じ込めると称するが、実際は長時間露光と三脚との果てしない格闘を美化する趣味である。暗闇に向き合い続けるのはロマンの追求か、それとも光害に怯える夜の修行か。完成形を待つ時間は、期待と機材トラブルという名の苛立ちが交互に訪れる茨の道。結局、撮れた写真はSNSで発表するための飾りと化し、銀河の神秘は#星好きアピールの小道具に過ぎない。

定義

星の瞬きを写し取るとされるが、長時間露光中に蚊に刺される拷問装置。
高価な機材を正当化する口実としての芸術行為。
予備バッテリーと保温袋を必須とする怪しい野営活動。
銀河の姿ではなく、レンズのゴミを記録する無慈悲なカメラテスト。
光害さえもドラマティックな背景として取り込む便利な言い訳素材。
SNSのいいね獲得競争に参戦する銀河の戦士たちのトロフィー。
寒さと退屈と焦燥感を芸術性に転化する夜の修行。
星雲の美しい色彩は、露出時間と後処理のマジックの産物。
シャッターを切るたびに心が折れる危険な自己満足プロジェクト。
撮影直後のモニター確認こそが最も残酷な現実との遭遇。

用例

「見てよ、この完璧な銀河。実際はシャッターが締まってなかっただけなんだけどね」
「また雲が…天体写真の宿命ってやつだね、もちろん俺の人生も曇り空」
「朝まで粘ったのに、電池切れでただの黒い画面だよ」
「長時間露光？いいえ、ただテスト撮影が終わらないだけです」
「この赤い星雲、実は後処理の50段階レベル調整のおかげさ」
「見よ、この天の川！と叫びつつ、三脚のロックが緩んで倒れていく様はもう芸術」
「星を撮るんじゃない、装備を撮らされるのさ」
「楕円銀河？いや、レンズフレアの勝利だよ」
「これがシャッタースピード1時間の成果です。ノイズだけどね」
「朝まで付き合ったのは雲だけ。せめて友達になりたかった」
「ISOを上げるとノイズが増える？いいじゃないか、銀河の粒子だと思えば」
「天体写真家は忍耐力の職業病にかかっている」
「『ピント合わせ5分』は永遠の嘘の始まりだ」
「星空の撮影は、暗闇と孤独の芸術だと気づいた瞬間に手袋を落とす」
「ライブスタックで救われた？いや、真の病は機材沼への沈没だ」
「このレンズ、星を集めるんじゃなくて、星に集められてる感じ」
「星景写真といっても、実際の風景はライトアップされただけ」
「フィルター交換した瞬間に曇るのは宇宙の気まぐれ」
「空が澄んでいるときこそ心は曇るものだ」
「完全自動追尾？ほら、極軸が狂っただけさ」

語り

星の撮影現場では、暗闇の中でカメラを見つめ続ける人影がひとり、まるで夜の亡霊のように彷徨う。
三脚にしがみつきながら、撮影者は凍える指先を振り払い、ひたすらシャッターを切り続ける。
雲間からのぞく天の川が見えた瞬間、彼の心は歓喜と絶望の往復を味わう。
撮影後のパソコン画面には、期待を裏切る無数のノイズが踊っていた。
真夜中のフィールドでは、カメラのランプすら祈りの聖火に見える。
星座の位置を探すうちに、彼は小さな虫に無念の一撃を加えられていた。
自己満足の証である一枚に、彼はまた装備購入の衝動を刻み込む。
遠い銀河を追いかけるほど、自分の部屋での写真整理が山となっていく。
露光時間が過ぎるごとに、足元の地面が異世界へ続く階段に感じられる。
寒風の中、焚き火すら眩しく感じる夜の芸術論争がそこにはあった。
星雲の美しさは、彼のコーヒーの冷たさと同じくらい残酷だった。
ファインダー越しの宇宙は、どこまでも遠く、しかし指先一つで掴める気がする罠だ。
撮影のたびに増える赤道儀の設定とともに、彼の記憶は迷宮へと変わっていく。
SNSに投稿する瞬間だけ、数秒間だけ、彼は神々になれる気分を味わう。
しかしその数秒後には、いいね数という名の審判が待っている。
曇天に向かって三脚を立てる行為は、期待と無意味を同時に抱えた祈りそのものだ。
機材沼に沈んだ彼は、一度手放した財布の重みを二度と忘れない。
星を探す瞳は、かつての自分の迷いを映し出す鏡となる。
真夜中の帰路では、荷物の重さが自分自身の後悔の重さと重なる。
天体写真とは、宇宙との対話ではなく、自分自身との折り合いをつける儀式なのかもしれない。

天体写真 - てんたいしゃしん

説明

定義

用例

語り

関連語

別名称

同義語

キーワード

ホワイトバランス - ほわいとばらんす

建築写真 - けんちくしゃしん

絞り - しぼり